【武術とは発掘】第1回 武術の学びは発明ではなく発見でもなく発掘。
2019.05.07
発明王トーマスエジソンにはこんな逸話がある。
内容はうろ覚えなのに、この逸話はとても印象に残っている。
自分がやったのは発明ではなく発見であると言ったという。
発明というのはこの世にない物を創り出す。
エジソンは自分やったことは、この世にあるものの法則性を発見して
組み合わせた結果だと。
この世に無いものは創り出せない。
この世にあるものには全て法則性がある。
その法則性を発見すれば
その結果誰も見たようなことがないものがこの世に産まれ出る。
僕は武術とは発見でも発明でもなく発掘なんだと思う。
心眼流の師が聞かせてくれた口伝
武術の型はご先祖様からの手紙
手紙を何度も読んで、書いてある本当の意味を知ることが稽古だと。
口伝とは武術のご先祖様から綿々と繋がる言葉。
型を紐解き、稽古を完成させる一言の贈り物。
口伝を知るには稽古を重ねる以外に方法はない。
その結果やって来る武術のご先祖様からの贈り物は
自分で発明した物でもなく、発見したもの。
エジソンと違うのは歴史あるものからの発見。
なので武術の稽古とは発掘
その方が僕にとってはしっくり来る。
発掘は頭では足りない、いくら考えても届かない。
体を動かし頭で考えるこの2つが欠かせない。
体を動かすことは自分の考えでは間に合わない。
体は型に従い動かす。
型には武術のご先祖様の手紙が隠されている。
だから型は決して変えてはならない。
数百年の民族の努力の積み重ねが武術の知恵。
国を守り家族を守る為の努力の結晶。
それが武術の型に込められている。
数え切れない程の人数と経験そして年月が込められている。
どんな天才でも一代では辿り着けないものが民族の知恵。
その膨大な内容を型に込めて伝える。
だから型を通じて御先祖様の手紙を読む。
何度も何度も繰り返して読む。
手紙は文章ではない。
だから体で読む。
手紙は文字ではない。
だから辞書のような存在が必要になる。
辞書は口伝になる。
手紙全体を紐解くには秘伝が必要になる。
正しい型と口伝そして秘伝が揃って初めて武術が見える。
稽古とは遥かな時代のご先祖様と同じ景色を体の内側から見る。
これも口伝になる。
景色は作り出すものではない。
元々あるものが景色。
武術の景色を体の内側で見る。
それには発見という言葉より発掘すると言う言葉の方がしっくり来る気がする。